個人再生の手続き期間と費用の目安

個人再生の申立から認可決定まで約6〜12ヶ月の手続き期間と、詳細な費用内訳を専門家が解説します。

個人再生の概要

個人再生は裁判所を通じて借金を大幅減額(最大90%)し、原則3年間で返済する法的手続きです。住宅ローン特則により自宅を残すことが可能で、給与所得者や個人事業主が利用できます。

個人再生の手続き期間

個人再生は裁判所を通す手続きのため、任意整理と比較して時間がかかります。申立てから認可決定まで、通常6〜12ヶ月程度の期間を要します。

個人再生手続きのタイムライン

相談・準備期間

所要期間:2週間~2ヶ月

弁護士との相談から申立て書類の準備まで。個人再生に必要な要件を満たしているか詳細に検討し、必要書類を収集します。

主な準備内容
  • 債務状況の正確な把握
  • 収入・支出の詳細調査
  • 住宅ローン特則の適用可否検討
  • 必要書類の収集(給与明細、源泉徴収票等)
  • 申立書・再生計画案の作成

申立て・受任通知送付

所要期間:申立て後即日~1週間

裁判所に個人再生の申立てを行い、同時に各債権者へ受任通知を送付。これにより督促が停止し、返済も一時的にストップします。

申立て時の提出書類
  • 個人再生申立書
  • 陳述書・債権者一覧表
  • 財産目録・家計収支表
  • 給与明細・源泉徴収票
  • 住民票・戸籍謄本

個人再生委員の選任・面談

所要期間:申立後2~4週間

裁判所が個人再生委員(弁護士)を選任。申立人は個人再生委員との面談を行い、履行テスト(返済予定額の積立)を開始します。

個人再生委員の役割
  • 申立内容の調査・確認
  • 債務者との面談・指導
  • 履行テストの実施・監督
  • 再生計画案の検討・意見書作成
  • 裁判所への報告・勧告

開始決定・債権届出

所要期間:申立後1~3ヶ月

裁判所が個人再生手続きの開始決定を行い、官報に公告。各債権者が債権額を届け出る期間が設定されます。

この期間の重要事項
  • 履行テストの継続実施
  • 債権者からの債権届出確認
  • 債権額に異議がある場合の対応
  • 再生計画案の最終調整

再生計画案提出・意見聴取

所要期間:開始決定後2~4ヶ月

確定した債権額に基づいて再生計画案を提出。債権者からの意見聴取期間が設けられ、小規模個人再生の場合は書面決議も実施されます。

再生計画案の主な内容
  • 最低弁済額の算出
  • 返済方法・回数の設定
  • 住宅ローン特則の詳細(該当者)
  • 返済資金の調達方法

認可決定・返済開始

所要期間:計画案提出後1~2ヶ月

裁判所が再生計画を認可し、決定が確定。認可決定の翌月から再生計画に基づく返済が開始されます。

返済開始後の注意点
  • 月々の返済を確実に履行
  • 住宅ローンの並行返済(特則利用者)
  • 収入状況の大幅な変化は裁判所に報告
  • 返済困難時は早期に弁護士に相談

個人再生にかかる費用

個人再生の費用は、弁護士費用、裁判所費用、その他実費に分かれます。総額は一般的に50~80万円程度となり、任意整理と比較して高額になります。

費用の全体像

弁護士費用

30~50万円
着手金、基本報酬、住宅ローン特則加算などを含む。多くの事務所で分割払いが可能。

裁判所費用

20~25万円
申立手数料、予納金、個人再生委員報酬、官報公告費などの法定費用。

その他実費

3~5万円
書類取得費、郵送料、交通費など手続きに必要な諸経費。

費用の詳細内訳

費用項目 金額の目安 支払い時期 詳細説明
【弁護士費用】
相談料 無料~1万円 相談時 初回無料の事務所が多い
着手金 20~30万円 契約時 手続き開始時の基本料金
基本報酬 20~30万円 認可決定時 手続き完了時の成功報酬
住宅ローン特則加算 5~10万円 契約時 住宅ローン特則利用時の追加費用
【裁判所費用】
申立手数料 1万円 申立時 収入印紙で納付
予納郵券 4,000~8,000円 申立時 債権者数により変動
官報公告費 1万3,000円 申立時 官報掲載のための費用
個人再生委員報酬 15~25万円 手続き中 裁判所・地域により異なる
【その他実費】
書類取得費 1~2万円 準備期間中 住民票、登記簿謄本など
交通費・日当 1~3万円 手続き中 裁判所・面談時の交通費

費用支払いの注意点

個人再生の費用は高額ですが、多くの法律事務所で分割払いが可能です。また、受任通知により返済が一時停止するため、その分を弁護士費用に充てることができます。法テラスの民事法律扶助制度を利用できる場合もあります。

小規模個人再生 vs 給与所得者等再生

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの手続きがあり、それぞれ特徴や費用が若干異なります。

手続きの比較

小規模個人再生

対象者:個人事業主、会社員、パート等(収入の安定性は問わない)

債権者の同意:書面決議が必要(反対が過半数を超えると不認可)

最低弁済額:債務額の1/5または100万円の多い方

期間:給与所得者等再生より若干短い

費用:基本料金で対応可能

給与所得者等再生

対象者:給与所得者など定期的で安定した収入がある者

債権者の同意:書面決議は不要(債権者の意見聴取のみ)

最低弁済額:小規模個人再生の基準と可処分所得の2年分のいずれか多い方

期間:小規模個人再生と同程度

費用:基本料金で対応可能

住宅ローン特則利用時の追加考慮事項

住宅ローン特則を利用する場合、通常の個人再生手続きに加えて以下の点を考慮する必要があります:

追加費用

手続き期間への影響

住宅ローン特則の効果

住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローン以外の借金を大幅減額しながら自宅を維持できます。住宅ローンは従来通り(または条件変更後)支払いを継続し、その他の債務のみが減額対象となります。

個人再生の費用を抑える方法

個人再生は高額な費用がかかりますが、以下の方法で負担を軽減できる場合があります:

1. 法テラスの民事法律扶助制度

2. 弁護士費用の分割払い

3. 手続き方法の選択

まとめ

個人再生の手続き期間と費用について重要なポイントをまとめます:

個人再生のまとめ

期間:申立から認可まで6~12ヶ月、その後3年間の返済
費用:総額50~80万円(弁護士費用30~50万円、裁判所費用20~25万円)
効果:借金を最大90%減額、住宅ローン特則で自宅維持可能
条件:継続的収入、債務額5,000万円以下(住宅ローン除く)

個人再生は費用・期間ともに負担が大きい手続きですが、大幅な債務減額と住宅の維持を両立できる唯一の方法です。手続きが複雑なため、経験豊富な弁護士に依頼することが成功の鍵となります。

まずは専門家に相談して、あなたの状況で個人再生が最適かどうか、費用対効果を含めて詳しく検討してもらいましょう。多くの法律事務所で初回相談は無料で行っています。

次のステップ

個人再生を検討している場合は、なるべく早めに専門家に相談することをお勧めします。手続きの準備から完了まで長期間を要するため、早期の着手が重要です。

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